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このブログでは、顧問弁護士(法律顧問)として、問い合わせを受けることの多いテーマを扱う予定です。 今日は、昇進・昇格・降格についてです。「昇進」とは、企業組織における役職や職位が上昇することをいいます(例:課長→部長)。「昇格」とは、職能資格制度や職務等級制度において、その資格や等級を引き上げることをいいます(例:3等級→2等級)。「降格」とは、役職や職位を引き下げることや、職能資格制度や職務等級制度上の資格や等級を引き下げることをいいます(例:部長→課長、2等級→3等級)。要するに、昇進や昇格の反対をイメージしていただければ良いかと思います。昇進・不昇進の判断は、使用者の裁量に委ねられるのが原則です。ただし、国籍、信条、社会的身分、性別、通常労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別、労働組合員に対する不当労働行為としての差別などの差別的扱いは禁止されていますのでご注意ください。昇格についても、使用者の裁量が尊重されるのが原則ですが、上記のような差別的扱いは禁止されています。また、昇格・不昇格の決定は使用者の裁量が尊重されますが、著しく不合理で社会通念上許容できない判断で行われたという場合(例:評価の前提となった事実に誤認がある、動機が不当であるなど)でなければ、違法にはなりません。なお、労働者には、原則として昇格請求権までは認められませんが、昇格の差別が賃金の差別と同様の結果となるような場合は、昇格請求権が認められる余地があります。このあたりの具体的な結論の差は個別事情により区々ですので、顧問弁護士(法律顧問)に相談したほうが良いと思います。懲戒処分としての降格は、就業規則上の要件に該当するか否かの問題となり、懲戒権濫用の法理がはたらく余地があるので要注意です。人事権行使としての降格は、原則として、使用者は裁量的判断により人事権行使としての降格ができます。ただし、人事権の濫用とならないことが必要です。職能資格引き下げとしての降格は、労働者との合意により契約変更するか、就業規則等の労働契約上の根拠が必要です。また、労働契約上の根拠があったとしても、人事権の濫用とならないことが必要なのは上と同じです。 以上について、疑問がありましたら、企業側の方は、顧問弁護士(法律顧問)にお尋ねください。最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。労働者側の方で、不当解雇や残業代請求などの労務問題でお悩みの方も弁護士にご相談ください。
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