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本ブログでは、残業手当に関する裁判例を紹介しています(つづき)。
四 以上に認定の事実関係に照らせば、確かに、係長級職員の勤務時間については基本的に各営業所のローテーションに従っているとはいえ、出退社の時刻や私用・傷病による不就労に関し、乗務員とは異なって相当融通の利く扱いがされていることは認められる。しかしながら、その融通というものは、営業所の運行管理業務に支障が出ないように、ある係長級職員の不就労を他の一般職員が埋めるからであり、係長級職員の職務上の裁量に基づくものとはいえない。また、ひとつの営業所に配属される営業車両台数、乗務員数と一般職員数が決定され、係長級職員の行う職務の内容が変わらないとすれば、どのようなかたちの勤務ローテーションを組んだとしても、必然的に、ひとりの係長級職員が雇用契約上就労義務を負う労働時間の総量が決定されることは自明の理である。したがって、この場合、係長級職員が自己の職務負担の軽減や員数増加を決定する過程で強い発言権を有していない被告会社においては、結局、係長級職員としては、被告会社の定めた一定の労働時間(本件においては、後記認定説示のとおり、それが所定労働時間を大幅に上回る長時間になっていた)就労を規制されることになるといわなければならない。すなわち、本件においては、係長級職員は、被告会社で重要な地位にあり自己の職務遂行に相当程度の裁量権を有しているとは言い難い。 さらに、前認定のとおりの係長級職員の給与や退職金の待遇は、歩合給が収入の大部分を占める乗務員に比して安定的であることは疑いがない。しかし、係長級職員が将来営業所長等さらに社内で高い地位の従業員に出世するとの蓋然性が保証されていない被告会社においては、係長級職員の待遇が、社会通念上、使用者都合で所定労働時間以上の勤務が要請され実際にも後記のような長時間労働をする係長級職員の職務に十分見合ったものと断定することはできない。 要するに、被告会社における係長級職員の権限や待遇は、原告ら係長級職員を労働基準法上の保護の対象から外してもなおその者の保護に欠けることがないと評価するだけの実質を伴っていないといわなければならず、被告会社は、原告らに対し、所定労働時間を超えた労働時間毎につき二五パーセントの割増賃金(残業代)を支払う雇用契約上の義務を負う。 なお、時間外労働(残業)に対する割増賃金(残業代)支払義務は、労働基準法が雇用契約の一内容として履行を強制するものであるから、就業規則等により労働基準法より短い労働時間が定められている場合には、労働基準法に定める最大限の労働時間(一日八時間)を超える部分のみならず、雇用契約上の労働時間(本件の場合一日七・五時間、月一八八時間)を超えるいわゆる「法内超勤」についてもその履行が強制されるものと解するのが相当である。 企業の方で、残業代請求についてご不明な点があれば、顧問弁護士契約をしている弁護士にご相談ください。また、個人の方で、相続や遺言、交通事故の示談・慰謝料、不当な整理解雇、敷金返還請求(原状回復)やご家族逮捕などの刑事弁護士への相談が必要な刑事事件、借金返済の相談などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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